大学の片隅で事務職員がさけぶ

小さな大学の事務職員がいろんなことをさけびます

SDってなに?

この業界に入って、いろいろな専門用語を理解するのに苦労したんですが、言葉というよりも意味がわからなかったのが「SD」。Stuff Developmentの略称ですね。それはすぐに理解したんですが、これって、研修のことですよね。それをなんで、SDとわざわざ読んで、文科省などがやらないといけない、というのかがわからないんです。

 

大手や中堅の一般企業の場合(大学でこういう言い方をするといやがられるので使いませんが)、新卒は基本的な研修をしてから現場に配属して、OJTをしながら実務を覚えるのがふつうなんだと思うんです。大きいところだと、半年くらい研修というところもあるのかな。企業として必要なことは研修などで教え込むのは当然だし、そこで適性を見て配属先を決めるみたいな部分もあるわけです。

でも、大学の場合、規模を問わず、いろいろなところの話を聞く限りでは、簡単な研修はあってもすぐに現場に配属してしまうことが多いみたいですね。現場で覚えろ、という訓練方法もたしかにありますが、結局配属された先の業務内容や、偏ったやり方しか学ばないということがあるのではないか。

一方で、わたしのような中途採用は能力を買われた形からなのか、ほとんど研修もなしで配属されましたよ。仕事というか、状況をつかむのに苦労しました。

わ、わたしは何をすればいいんです、って感じで。

 

話がずれてしまいました。

つまり企業では研修はとうぜんのごとく行われているんですが、大学って、当然ではないのですよね。この前も管理職が何かの研修でSWOT分析っていうのを習ったと自慢げに話しているんですよ。

 

SWOT分析ですよ。

 

そういえば、転職して最初のころはいろんなフレームワークを使って説明したりするんですけれど、みんな、ぽかん、だったんですよ。なんでかなと思ったら、知らないんですね。フレームワークはお互い理解していることを前提に使わないと、議論にならないんですよね。よくわからないけれどそれでいいじゃんくらいになってしまうので、最近は使わないようにしています。

 

でも、視点を変えると、一般的なマネジメントの分析手法など使わなくても大学は運営できていたわけですよね(それを教えている先生は学内にいるのに)。

 

とはいっても、なんでSDを推進しないといけないのかがわからないんです。

 

何か問題があって職員の能力をあげないといけないって、それって、ここの組織の問題で、文科省とかが推進する必要はないんじゃないの? それとも国が介入しないといけないほど、ひどい運営をしている大学があるってことなの?

 

職員に何を研修させるのかは、個々の大学が自分たちのヒューマンリソース上の問題を分析したうえで考えるべき案件であり、強制的に実施しても効果があるものではない。大学の職員も会社員も危機感のある人や、自分でキャリアパスを考えている人は自分のお金で外部に学びに行ってますよ。企業の研修だって、直接的なスキルを学ぶものならともかく、それ以外のものはどれだけ役に立っているのかあやしいところもある。SDをすればどうなるのか、という議論がないような気がするんです。

研修さえすればみんな成長するというのは幻想ですよ。

何を教えて理解させないといけないのか、個々の大学でしっかりと把握したうえで研修体系を組まないと、効果はないと思いますよ。

 

でも、一方で中小の大学は研修を実施すること自体考えないところもあるのかもしれない。そういう意味では国からの外圧は必要なのか。

そういえば、うちもやらないなぁ。でも、やらなくてもちゃんと管理職になっている。あの人たちは実は陰で自主的に勉強をしているのか。教務系の管理職と教育の質的転換の話をしたけれど、わかってなかったような気がするし、財務系の管理職と補助金のスキームの話をしたけれど、何それって感じだったような気がする……でも、なんとなくうまくいっている。

 

でも、そうやって職員の能力を向上させようとしない大学は、結局SWOT分析のことすら知らず、有効な手立てを打てないまま沈んでいくだけなのかもしれない。

 

人事部は何もしようとしないから、私も何か企画してみようかな。沈まないために。