大学の片隅で事務職員がさけぶ

小さな大学の事務職員がいろんなことをさけびます

個人情報と入学式

大学も入学式シーズンである。昨今は授業時間の確保のために早め早めのスタートとなっていることから、どの大学でもかなり早い時期に入学式を行うようになった。大学によっては入学式の前から新入生ガイダンスを行うところもある。

さて、こんなニュースがあった。

横浜国立大学が入学式で新入生1814人分の名簿を紛失 受付を離れた約10分間に (ねとらぼ) - Yahoo!ニュース

簡単にいうと、入学式の受付にあった新入生の名簿が、ちょっと目を離した隙になくなってしまったという話である。

うちの業界って、個人情報の管理がけっこう杜撰で……という話をしようとしたが、いろいろと差しさわりがあるので違う話。

「入学式では参加に必要な入学許可証を入学生が忘れてしまった場合、受付が名簿で新入生本人であることを確認し、参加を許可していました」ってあるんだけれど、入学許可証が必要なの、とまずは思った。自分が卒業した大学は大きな大学で入学式は武道館だったりしたけれど、受付でそんなもの見せなかったなぁ。名前をいって、資料を渡されたと思う。大学院は違うところだったけれど、入学式前にガイダンスだったから、とくに受付もなかった。今の勤務先も入学式は受付なんてなかったような気がするなぁ。

昔は受付していたらしいけれど、最近は入学式前にガイダンスをやったりして、それで「ちゃんと来てくれるか」確認しているので、わざわざ入学式でも受け付けをしてチェックするのは無駄、ということになったらしい。

「学籍番号を変更して学生証を再発行する対応を取っています」となっているけれど、けっこうお金もかかるし、番号を振りなおすのも大変なんですよ。えらいことですね。

 

ここで、個人情報の管理の話に戻るけれど、学校は個人情報があふれている。

教務システムなどはアクセス権限が細かく定められているので、教職員ならだれでも学生のデータを手に入れることはできない(はずだけど、学校によって違うらしいな)。ただ、全学生のデータは手に入れられなくても、教員は自分の担当する学生のデータはもっているし、独自に学生から情報を得ている、かもしれない。さまざまなイベントも開催され、今回の入学式の話のように必要に応じてリスト化され受付などに利用される。それぞれの部署、学科、教員が独自に学生のデータを蓄積し、所持していることも多い。その中で、どこまで学生の情報を管理し、保護することができるだろう。

一方で、あちこちで独自にデータを管理していて「個人情報の保護」を盾に共有化できず、結果的に活用できていないものも多数見受けられる。学生の情報がこんなにもあるのに。

 

大学に求められているのは、学生の情報の保護と、そして、情報を活用して学生に対する支援・サービスを充実させることなのだろう。

 

私は前から、学生の情報はなるべく印刷しないほうがいいと言っているんです。今回も、もし紙で印刷したものではなくタブレットやPCなどに入れて、入学式の受付をしていたら、どうだっただろう。少なくとも、タブレットやPCを放置して誰もいなくなるってことはしないですよね。同じくらい、いやそれ以上に学生のデータも重要なんですよ。

(あ、たまに教員が電車や車などに学生データの入ったPC忘れたみたいなニュースが流れるから、そうでもないのか)