大学の片隅で事務職員がさけぶ

小さな大学の事務職員がいろんなことをさけびます

共同学位プログラムの価値は

最近の業界のホットwordの中に「ダブルディグリー」「ジョインドディグリー」というものがある。制度的にも今度は大学設置基準の改正で「国際連携学科」というものが作れるようになる。

どれも、外国の大学と共同の学位を取得することができるというものである。はっきりと定義していないようだが、文部科学省の「我が国の大学と外国の大学間におけるダブル・ディグリー等、組織的・継続的な教育連携関係の構築に関するガイドライン」によれば、以下の通りである。

・ダブル・ディグリー・プログラム
 我が国と外国の大学が、教育課程の実施や単位互換等について協議し、双方の大学がそれぞれ学位を授与するプログラム。
 
ジョイント・ディグリー・プログラム
 我が国と外国の大学が、教育課程を共同で編成・実施し、単位互換を活用することにより、双方の大学がそれぞれ学位を授与するプログラム(我が国と外国の大学が、共同で教育課程を編成・実施する場合に、単一の学位記を授与することは、我が国の法令上認められていません)。その際、学位記は各関係大学が授与しますが、そのほかに、共同で編成された教育課程を修了したことを示すサティフィケート(証明書)を発行することが想定されます。なお、これには、国内大学の共同実施制度(国公私を通じ、複数の大学が相互に教育研究資源を有効に活用しつつ、共同で教育課程を編成し、共同で一つの学位を授与するもの)は含まれません。
 
最近、東京藝術大学が海外の4大学と連携協定を結ぶというニュースがあった。最終的にはジョイントディグリーを結ぶ方向のようだ。

東京藝大、世界4芸大による連携協定 (リセマム) - Yahoo!ニュース

 

グローバル化というやつの一環なんでしょうが、「ダブルディグリー」「ジョインドディグリー」を推奨することは、日本の学位だけでは価値がないと自ら主張しているようなものではないか。

 

……そうじゃないかもしれないけれど、小さな、英語とは縁のない大学には関係ない話であろう。でも、と私は思う。海外の大学ではなくても、たとえば地方の大学などで「うちの大学で学ぶと東京大学の学位も取得できますよ」となると、どうだろうか。東京大学ではなくても、都市部の人気大学の学位を同時に取得できるとしたら、地方の大学、とくに小規模大学にとっては大きな価値を得られるのではないだろうか。海外の大学の場合は、交渉から契約までいろいろとめんどくさいが、国内であればそれほどではないだろう。

あとは、文部科学省が認めてくれることは前提として、共同プログラムを受け入れてくれる有名大学にどんなインセンティブがあるかだろう。ロイヤリティーとしてそれなりの金額を支払うとか……。

いいアイデアだな、と思ったが、それは同時に自大学のアイデンティティーというか、他の大学の学位をえられることを条件として入学してもらってまで、自大学を存立させないといけないのか、ということか。自分たちの教育だけではだめであることを認める行為であり、そこまでして大学を存続させる必要があるのだろうか。

 

あ、それって、結局海外の大学とのジョイントディグリーも同じではないか。

 

まあ、どちらにしても、そもそも小さな大学には縁のないことか。